大学生の皆さんの中には、自分の学歴に対してコンプレックスを抱えている人も多いのではないでしょうか?実際、私の大学時代にも「●●大学の受験に失敗した」「本当は●●大学に入りたかった」という声をたくさん耳にしました。
つまり「本来、私はこんなレベルではないんだ、もっと上の大学に行けるはずだった」と自分自身に言い聞かせているのです。その背景には、「偏差値」という唯一の物差しだけで自分の価値を測り、序列や他人との比較に苦しめられている現実があります。
ここでは、そんな序列や他人との比較をやめられずに苦しんでいる人が、学歴コンプレックスの呪縛から解放されるための具体的な方法、学歴主義の危険性、学歴コンプレックスを乗り越えるアドバイスを紹介します。
どうしても、序列や他人との比較をしてしまう人が学歴コンプレックスから解き放たれるための3つの方法
①「学歴」に代わる「社会的ステータス」を得る
たとえば、自分の満足できる一流企業に就職する方法です。誰もが認める大手企業に入社すれば、自分の中で「学歴の劣等感」を埋められる可能性があります。実際、学歴に劣等感を感じていた人が、大手企業の内定を得た瞬間から自信を持てるようになったという事例も多いです。
②「行きたかった大学」に再挑戦する(編入)
今の大学がどうしても自分の納得できるレベルではない場合、本当に行きたかった大学に編入学するという方法もあります。編入試験に合格し、念願だった大学に進学できれば、コンプレックスは大きく解消されるでしょう。
③「資格取得」で能力を証明する
最も現実的で確実な方法は、難関資格を取得して、自分の「頭の良さ」を社会的に証明することです。たとえば簿記1級、行政書士、司法書士、弁護士、弁理士などの資格です。「合格率●%の試験に合格した」という自負があれば、学歴へのコンプレックスも次第に和らぎ、自信が生まれるでしょう。
研究:石戸 教嗣「パラドックスとしての学歴主義(1985)」
学歴主義に関して、興味深い論文がありましたのでざっくりと簡単にご紹介します。
①学歴主義とは何か
- 学歴が社会的に「良い/悪い」を区別するメディア(伝達手段)として機能。
- 教育システム内の判断基準だったはずの「学歴」が、社会全体に浸透し自己目的化してしまう。
- 本来は教育の補助的な指標だった学歴が、「社会的成功の必須条件」として絶対視されている。
②ルーマンの社会システム理論から見た問題
- ルーマンは、各社会システム(経済、法、教育など)がそれぞれ固有のメディア(例:貨幣、正義、学歴)を持つとした。
- 教育システムにおける学歴は、本来一時的な「シンボル」にすぎない。
- しかし日本ではこの学歴メディアが固定化・神格化し、他の社会システム(就職、結婚など)にまで影響を及ぼす。
③「学歴メディアのパラドックス」とは
- 「学歴」は自分と他者を区別するための指標であるが、同時に同一化(皆と同じように進学する)も促す。
- 「皆と同じために学歴を得る」と「皆と違うために学歴を得る」が同時に存在してしまう、という二重の矛盾。
- この矛盾が「学歴主義パラドックス」であり、個人の自己認識や選択を強制された自由のような形で縛ってしまう。
④「日本型学歴主義」の特徴
- 学歴が、社会的地位や成功の基準(立身出世のイデオロギー)として機能。
- 教育システム内にとどまらず、社会全体の価値判断にも浸透。
- 現代は学歴の効果が相対的に薄れてきている(≒高学歴の飽和状態)が、制度や慣習としての拘束力は残っている。
⑤パーソナリティ・システムへの影響
- 個人(パーソナリティ・システム)は、学歴メディアに「一方的に浸透」される。
- 自律的な選択をしているようで、実際は社会システムに適応するしかない構造の中にいる。
- 「学歴を得なければならない」と思い込むことで、逆にアイデンティティを支える擬似的な手段として学歴が使われる。
💡 著者の主張の本質
日本の学歴主義は、単なる文化や習慣ではなく、教育と社会全体を繋ぐシステム的な構造問題。それが個人の動機づけにも深く影響し、矛盾(パラドックス)を生み続けているという点に着目している。
✍️ ざっくり一言で言うと…
「学歴って、結局何のためにあるの?」という問いに、システム論で真っ向から答えようとした論文。
学歴コンプレックスを乗り越える3つの実践アドバイス
①「学歴=実力」ではないと知る
- 学歴は過去の通過点であって、あなたの現在や未来の価値を決めるものではない。
- 学歴で評価されるのは「一部の入り口」であり、成果や信頼は行動で築ける。
②「自分の武器」を明確にする
- 経験・スキル・人柄など、自分が誇れるものを棚卸しして書き出す。
- 学歴以外で勝負できる「得意分野」があると、比較の軸が学歴から外れる。
③ 学歴の呪縛から距離を取る行動をする
- 学歴にこだわる環境から意識的に離れる(SNSのミュート、業界の転職も含む)。
- 新しい挑戦(資格取得、副業、発信活動など)で“自分だけのキャリア”を切り拓く。
最後に一言
「自信」は、過去の肩書きよりも、今の選択の積み重ねで生まれる。
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